絵図・地図
毛利家文庫絵図・袋入絵図を探す
「毛利家文庫絵図」は、萩藩が作製した絵図と、明治期以降に毛利家編輯所が収集した絵図・地図類で構成されています。内容は、世界全図から建物差図まで幅広く、総点数は2,103点を数えます。なかでも防長関係は充実しており、資料的価値の高い絵図が揃っています。
「袋入絵図」は、県庁伝来の絵図に、県立山口図書館伝来の一般郷土史料の絵図が加わったものです。内容は国・郡・村図が中心です。
このデータベースには、毛利家文庫絵図及び袋入絵図の中から山口県に関わるものを中心に収録しています。
絵図に関する解説
防長の国絵図
国絵図は江戸幕府の命令によって周防、長門、安芸、備後、備中、石見などのように国(古代の行政区画)ごとに作製された一国単位の大型彩色図で、江戸時代における国土基本図です。江戸幕府が国絵図の作製を命じたのは、慶長・正保・元禄・天保の各期です。国絵図作製を担当した藩は、幕府への上程図のほかに、控図として同じものを作製して手元に残しました。なお、防長両国の国絵図は、上呈図は天保度、控図は慶長・正保・元禄・天保度のものが現存しています。上呈図は国立公文書館、控図のうち慶長度は宇部市文化会館、その他はすべて山口県文書館に所蔵されています。このうち、正保国絵図(周防国、長門国)は、当館のWebサイトで高精細画像をご覧いただけます。
正保国絵図(周防国・長門国)
慶安2年(1649)、萩藩は防長両国の国絵図をに幕府へ提出しました(正保国絵図)。縮尺は幕府の基準どおりの 6寸1里(2万1600分の1)です。周防は6郡で現在の郡に一致しますが、長門は寛文4年(1664)印知以前の阿武・大津・美祢・厚東・厚狭・豊田・ 豊東・豊西の8郡仕立です。支藩のうち長府と下松(後の徳山領)は、村名を記した枠内の色(赤と緑)で本藩領と区別されていますが、岩国領は区別されていません。岩国は幕府公認の支藩ではないとする幕府の意向にしたがったものです。諸国から提出された正式の正保国絵図は現在ではすべて失われており、作製当時の状態を知る上で貴重な資料となっています。なお、当館には国絵図にあわせて提出が命じられた「城絵図」、「郷帳」、「道帳」も残っており、幕府が国絵図作製にあたって必要とした資料一式が揃っています。
もっと知りたい人は
山口県立山口博物館編『防長の古地図』(昭和59年)
川村博忠著『国絵図』(吉川弘文館、平成2年)
KAWAMURA,Hirotada:KUNIEZU (provincial map) Compiled by the Tokugawa Shogunate in Japan ,Imago Mundi №41,1989.